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早坂 信哉 医師

温泉で熱中症対策?

いよいよ夏本番!暑くなってくると毎年心配になってくるのが、熱中症。
熱中症対策に温泉が活用できるかも?

■熱中症とは
毎年夏になると、ニュースをにぎわすのが熱中症の記事です。毎年多くの方が熱中症となって救急搬送されています。

そもそも熱中症とは、周りの熱さに身体が対応できなくなり、気分不快やめまい、頭痛、嘔吐、意識を無くす、といったことが起こる病気です。本来、人間 の体は周囲が熱ければ、手足の血管を広げて熱を発散し、汗を出して体温を下げるように働き、身体の中心は一定の温度に保つようになっています。

しかし、周囲があまりに熱すぎたり、高温の環境に長くいるとこうした体温調節機能が追い付かなくなり、結果として体の中心の体温も上昇していくことに なります。
体温が上昇しすぎると体の機能がうまく働かなくなりさまざまな症状が現れてきます。ひどい場合は命の危険にもつながることがあります。


■熱中症の起きる時期
熱中症の起きやすい時期は例年7月です。ちょうど梅雨があけて気温が上昇し始める時に重なります。この時期は体がまだ熱さに慣れておらず、体温調節機能が十分に働いていない時期でもあります。
暑さにしっかり体が慣れてくると体温調節機能もよく働くようになりますが、気温が上がってある程度時間が経った8月~9月のほうが熱中症が少なくなるのもそのような理由によるものです。体が暑さになれることを暑熱順化(しょねつじゅんか)と言います。この暑熱順化が起こると熱中症になりにくくなり ます。

■熱中症になりにくい体づくりとは?
熱中症予防の第一は熱い環境に長時間身を置かない、ということに尽きますが、熱中症になりにくい体づくりはどうしたらよいでしょうか?

その1つの方法として温泉を利用することが挙げられます。梅雨の明けるころに合わせて、時々温泉を訪れ、いつもより多くしっかり温泉に浸かることを意識します。
自宅のお風呂でもよいのですが、体が温まりやすい温泉の方がより効果が高いでしょう。

温泉であればどの泉質であっても、水道水より温熱効果が高いので特に泉質にこだわる必要はありません。このように温泉に浸かることで熱い環境(暑熱環境)にさらし、慣らすことによって暑熱順化が進み、汗をかく能力や手足から体温を放出する能力が上がって、熱中症に強い体づくりができると考えられています。
特に、梅雨の明けるころに合わせて早めに暑熱順化を行うことで7月の熱中症の多い時期を乗り切りやすくなると考えられます。

かと言って、温泉で汗をダラダラ流しながら我慢するのは禁物です。 逆に温泉で熱中症になってしまいます。額に汗が出たら一旦湯船から出る、ということを2、3度繰り返すとよいでしょう。その場合、入浴前にもしっかり水分補給をしておくことが大切です。

熱くなってくるこの時期も、温泉を活用して元気に夏を乗り切りましょう!

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